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暦の暦(れきのこよみ) rekikoyo.exblog.jp

歌手です お話するよ


by rekinokoyomi
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面白がって、憤って、心忙しいお昼ごはん時

数ヶ月前のある日のこと、昼食時のお蕎麦屋さんにて。

少し離れた席に座っていたのは、
60歳前後の男性二名(Aさん、Bさん)と、20代後半の男性一名。
年配の二人はラフな格好だけれど、例えば小さな会社=事務所で働く
共同経営者、同僚、みたいな感じ。
若い一人はスーツ姿で、時折やって来る営業の人、出入り業者、というような様子。
「昼食よかったら一緒にどうですか」みたいなことになって、一緒に来たのかなあ。
ト、いうのは私の想像。
思えばこの段落、全部想像だな。

昼過ぎのNHKでは、人気番組「スタジオパークからこんにちは」。
ゲストはペギー葉山さん。
いままでの人生のことだとかのお話があって、もちろん歌のコーナーでは「ドレミの歌」。
おおー。ペギーさんが歌うのを見るなんて、久しぶりだなあ。
っていうか、いつ見たことあったかなあ、わかんないや。

すると先ほどの三人の、蕎麦をすすりながらの会話が聞こえてきた。
Aさん「ワン、ツー、ワン、ツー、ってやつじゃないんだな、ズルズルッ」
Bさん「それ、水前寺清子だろ、ズルズルッ」
Aさん「まだ生きてるの?フー、フー」

えーっ。生きてるよ!お元気でしょ!アンタたちより少し年上ってくらいでしょ!
っつーか、どうして「ドレミの歌」を「三百六十五歩のマーチ」と間違うの!
「ドレミ」と「123」を混同するのは、ジャクソン5の「ABC」のせい?!
とか、わかるようなわからないようなことを思う私。
この時点で、もちろん私もお蕎麦すすってます。ズルズルッ。

TVではペギーさんが歌い終わり、
今度は訳詞の苦労話だとか、そんな話になりました。
すると、次に口を開いたのは営業の若者。

若者「ズルズルッ、モグモグ、これ、日本の歌じゃないんすね」
Aさん「(無言でモグモグ)」
Bさん「ああ、ほら、あの、『サウンド・オブ・ミュージック』ってミュージカル映画。フー」
若者「、、はあ、、、」

これ、結構、衝撃的だったなあ。
知らないんだね、「サウンド・オブ・ミュージック」。
きっと私の好きな「エーデルワイス」も知らないんだろうなあ。

この日はズルズルッとしながら彼らの会話を楽しみましたが、
実際、彼ら(Aさんと若者)の方が日本の多数派なんだろうという現実を思うと
場合によってはかなり落胆する時もある。
町で無作為に、ランダムに人を選んだとして、その人たちにとっては
私が一般常識と思う事柄が、まったくそうではなかったりすることとか、
音楽を含め、芸術の、社会での立場というか、地位というか、
結局のところどうなのよ!なんてことまで考えてしまったりして。

いや、ミュージカルなんて、芸術・文化の底辺に近いところ、というと語弊があるけど
よくも悪くも、俗世間との境目にかなり近いところにあるようなものであるのに
それですらこうなんだから、みんな芸術をなにと思って生きているのかと
憤るところの私であったりするのかもしれない。
そうなのか、私?

さてでも、この会話で(私の中で)株を上げたのはBさん。
三人の中では一番話が通じそうで、演劇や映画の話なんかもできそうで
ラフな感じのスラックスおずぼんもセーターも、ちょっと素敵に見えてきたのでした。
by rekinokoyomi | 2013-04-18 00:25 | これは音楽のことかもしれない